寅次郎の喜怒哀楽    寅パパの多事争論 Ver.2

国際政治専攻の寅パパが、ん?と思ったら書いています!

エレベータ事故

総アクセス数10000件の節目にあたり、一つだけ話しておきたい。新聞で言えば『社説』でしょうか。長くなりますがご勘弁を。
先ず、犠牲者となってしまったある若き高校球児の御冥福を心よりお祈り申し上げる。
今日のお話はエレベータ事故について。
あえて触れる。なぜならば、寅パパはその現場の近くに会社があり、もしかしたら彼とすれ違っていたかもしれないからである。
あの事件はマンション共有部分で起きたわけだが、実はあそこは身障者福祉施設も併設した区の複合施設だ。つまり、居住していた健常者でさへ不幸な事故に巻き込まれてしまった程の大事故なのだから、もしかしたら外部から偶然通っていた身体の不自由な方或いは車椅子の方が巻き込まれていたかもしれない。
入札価格が低かったから決まったというが、果たして先々のランニングコストは考慮していたんだろうか。地方自治体の単年度予算でそこまで考えていたとは到底思えない。
外国製品にありがちだが、製品自体は安価でもメンテや消耗品で実利を得るパターンが結構多い。その代表的な理由は、製造者だけが知り得る重要な部分があるからだ。一般的には新規開発に係った半ば特許に近い部分だったりするが、何らかの理由で触れられたくない部分であったりもする。。
今回の場合、そういった部分がどれだけあったのだろう?
安価で良質な製品を作り続けてきた日本人には、『メンテで実利』・・・なかなか理解できないところである。実は、製造地が海外にシフトされ始めてからというもの、日本ブランドの製品にもその傾向が多々見受けられる。
そのメンテ費用を単純に安く抑えようとして管理会社を変えたことも問題だし、事故機製造元が製品情報やメンテ情報をなかなか出さなかったことも由々しき問題なのである。
エレベータは、もともと旧COCOM(対共産圏輸出統制委員会)統制品であり、ミサイルの発射台に流用できる程のハイテク品。使用パーツは実に2万個以上ある。例えば扉は、大陸間弾道ミサイルなら発射台の格納蓋と考えて欲しい。正確に瞬時に動いて止まる箱は発射台そのもの。軌道を描いて飛ぶミサイルの着弾精度に、発射台停止位置の数ミリのズレが与える影響は甚大である。そのくらいハイテクなのだ。
つまりは、民用目的だ(或いは非軍事目的だ)から何とかなると勝手に甘く考えていた平和ボケの無知な行政と、現代の世の中で機密保持を過剰に意識した為に結果として人命を軽んじてきた時代遅れの傲慢な製造元、この両者が生んだ悲しい事件なのである。
だからこそ特定の誰かに責任を負わせるのではなく包括的に裁く必要があるし、抜本的な再発防止の枠組みを確立しなければならないのだ。
それこそが、犠牲になってしまった彼に対する最大の供養なのだと信じている。
寅パパ