寅次郎の喜怒哀楽    寅パパの多事争論 Ver.2

国際政治専攻の寅パパが、ん?と思ったら書いています!

中国はどうしてこうなった?

昨今、中国発とか中国製とか、この分野でとにかく良くない話が後を絶たない。実に残念である。 エッセッセさんがUpした機関車トーマスもホンの一例であり、他にも歯磨き粉やペットフードもある。実に情けない。 しかしながら、中国をこんな国にしてしまったのは先進諸国である。つまりブーメランのように自分に返って来たわけ。 元々、親米各国の間に存在した暗黙の理解である対中国戦略の基本は「生かさぬよう殺さぬよう」であった。中国は育ちすぎてはならなかったのだ。なぜなら、いとも容易く地球規模のエネルギー争奪戦に発展することが明々白々だったからだ。 「人民チャリ」と言われた中国の自転車&人民服の世界。それが肉親や親類が住む台湾や香港、シンガポールを追いかけるように、いずれ大量のスクーターに変わり、更には車に発展する。当時のそれらの国々を見れば一目瞭然であろう。 勿論逆もまた然り。十数億の民がいるわけだから、国を破綻させてはいけない。破綻すれば難民が出かねず、近隣諸国は膨大な難民受け入れに追われ、ボートピープルは日本に流れ着く。例えば4億の民が日本に流れ着いてみたらどうなるか・・・。恐ろしい。難民認定して更には選挙権及び被選挙権が万一認められてしまえば、容易に国家がひっくり返る危険性がある。だから日本の制度は常に厳しいハードルなのである。つまりこの点も「生かさぬよう殺さぬよう」だったのだ。 一定の社会主義を尊重し、眼を瞑り、礼節を重んじる中国を緩やかに育てる努力をしなければならなかった。だが、アメリカの低成長経済打開の起爆剤として中国市場が注目され始め、忽ち状況は一変した。初期段階における顕著な例は、無理な合弁で始まったクライスラージープ(チェロキー)であり、モトローラである。この2つがキッカケになり、多くの同業他社が諸手を挙げて進出し、今となっては石油の争奪戦を巻き起こし、携帯発信のサイバーテロも生んでいる。他の業界も無防備なまま進出するから、カウンターパンチのように模倣品や粗悪品に苦しんでしまうわけである。 他方、それなりに経済的に一定の富裕層を生み出す構図が出来上がると、その経済的余裕の捌け口が重要になる。 一番お笑いなのがIBMの買収。チャイナマネーがブーメランで戻っていったのだ。さらには、日常の生活レベルが上がり、多くの外資進出(駐在員の増加)に伴う現地の食生活の多様化が進んだ結果、食材の国際需給のバランスまで見事に崩してしまった。例えば、キズ物の鯖でさへ中国は高値で輸入する。だから新橋あたりのお父様が食していたリーズナブルなお値段のサバ定食は、いま原価が高騰して大変なのだ。 もう一つは、中国人がギャンブルと同等の感覚で動く中国株。マカオの流動マネーを考えてくれたら解ると思う。ベガス以上なのである。これが非常に危険。 食文化、経済理論、環境、常識、人権、政治体制、自由・・・いろいろな分野で中国に対するの教育が遅れたばかりに、現在のような由々しき事態を巻き起こしているのである。それは中国だけの責任ではなく、そのように追い込んでしまった西側諸国の責任でもある。 「有社会主義特色的資本主義経済」(社会主義の特色ある資本主義経済)・・・言ったもん勝ちである。 中国は堂々と変質してしまったのだ。残念である。 寅パパ