寅次郎の喜怒哀楽    寅パパの多事争論 Ver.2

国際政治専攻の寅パパが、ん?と思ったら書いています!

トヨタ

トヨタの通期決算発表は大幅な下方修正だけならまだしも、急転直下の如く営業赤字に転落だという。

輸出の割合が高く、昨今の急速な円高トヨタとて耐えきれる訳がない。しかも販売不振が追い打ちをかけるのだから、収益悪化の幅は加速度的に増える。規模が大き過ぎることも、処方箋の効きを薄めてしまうのだから、まさに泣きっ面に蜂だろう。大量出血に絆創膏では無意味なのだ。

「へぇ・・・あのトヨタがねぇ」と新聞を読むだけではイマイチであり、このような深刻な経営状態が、規模の大小を問わず多くの企業に広まっていることを冷静に認識しなければならない。内部留保を厚めにしてきた企業なら、ある程度耐えられる可能性はある。けれど積極投資に出ていた企業には余力なんぞ残っていない。

寅パパが注目したのは上述の点ではない。

年度末まであと3か月。通常なら多くの企業の中期計画や☆☆計画と言った経営ビジョンを示す場面に出会うことが多い。

注目したのは、ここでのトヨタの発表内容。なんと「生産販売台数の見込みは出せない」と言うのである。これが本音なのだ。

企業の社会的責任を考えるなら、「底の見えない現状でどんな計画を出しても信憑性に乏しい」というのであれば、最低限の数値だけを発表し、抱える計画があろうともそれ自体の発表そのものを差し控えることこそが企業の責任でもあるという判断だ。単年度でさへ出し難いのだから、中期計画など出せる訳が無いというのは十分理解できる。「絵にかいた餅」を出したって、株価(企業価値)は上がらないのである。

そういった企業の中長期的ビジョンが普通に出て来るようになった時初めて、経済は「平時」に戻ったと言えるのだ。

そういう視点で経済記事・情報を追うと、世界が急に近くなる。

寅パパ