寅次郎の喜怒哀楽    寅パパの多事争論 Ver.2

国際政治専攻の寅パパが、ん?と思ったら書いています!

赤坂の現場事故3

今日は告別式を執り行った。

昨今頻発する「ゲリラ雷雨」が心配されたものの、青空が広がる最高の天気がお義兄さんの最後の一日を立派に演出してくれた。そんな環境の下、告別式を終え、遺体を荼毘にふすことにより、遺族にとっては一つの区切りを迎える。労災であるから、今日までに原因究明が済んでいれば良かったのだが、残念ながら業務上過失致死容疑の調べは今も続いている。

棺に釘を打つ時、遺族は別れの最終章を改めて感じ、そして涙を流す。

今日は朝早くから遺族が斎場に集合した。寅パパは会場全体を見回り、参列者に失礼が無いかチェックに余念が無い。これは癖に近い。すると長男(義理の甥)は朝から涙を流して気落ちしていた。いろいろなことがフラッシュバックし、そしてもうすぐ父親が消えてしまうことを考えているらしい。寅パパも同じ境遇だったから大変よく理解できる。

ここで、寅パパは一つのアドバイスをすることにした。

泣き崩れる彼の両肩に手をのせ、「○○くん、俺もそうだったけど、大好きなお父さんがもうすぐ居なくなってしまうよね。すべて焼かれてしまうよね。でも、ずっと傍に居て欲しいなら、せめて髪の毛を切って残しなさい。ボクも亡き父の髪の毛を大切に持っているんだ。もう少しじっくり考えて、もし必要なら切り取っておきなさい。」・・・と。

告別式は多くの会葬者によってしめやかに営まれた。そして棺を閉じるその段階を迎えた。

するとどうだろう。長男は半紙と鋏を準備し、泣き崩れる母親(義姉)と共に父親の前髪をそっと切ったのである。そして大事に懐に収めた。

寅パパはその姿を見て心の中でつぶやいた。

「大切にするんだよ」

何もできない寅パパにはこんなアドバイスしかできなかったけど、今日は一つ良い事をしたと思う。お義兄さんも喜んでくれるに違いない。

寅パパ